2008-03-02 [長年日記]
_ [社会派]ラグナロク
俺の家の郵便受けにいきなりビラが投げ込まれていた。内容は「中傷ビラが配布されていましたが、それについて有罪判決が出ました」という内容のもので、配布元はその中傷されていた宗教団体である。
そういえばそんなビラが昔あったなあ、と思って少し探したら、デジカメで一部撮った写真が残っていた。これとこれ。「私たちは恐るべきカルト教団<中略>の即時撤退を求めて運動している市民団体です」とか書いているが、その市民団体の連絡先などが全くかかれていないという、まさに怪文書と呼ぶに値するビラである。さらに二枚目の方のアップを見ればわかるが、「住民による署名運動」の写真では住民の顔が巧妙に写っておらず、正体を隠したいのだろうと邪推させるものになっている。プライバシーのためなどであるなら、普通にモザイクなどをかけるだけで済むのに、このように自然に?隠そうとしているあたりが邪推をする余地を生み出してくれるという、なかなか味わい深いものである。
とは言え、こんな嬉々としてblogのネタにするような物好き以外にとっては、別に怪文書も有罪判決もどうでもいいからビラ投げ込まんでくれよ、ってなもんだろう。
端的にいってしまえば、宗教団体同士がなんかわからんが仲違いして、勝手に喧嘩してればいいものをなぜか周りを巻き込んでビラ合戦をしているという、非常に近所迷惑な図なわけである。本人達が思うほど溯及力はない。わざわざこんなビラで報告してもらわなくてもかまわないよ。
我々は大古、すがるために神を発明しそれを信じた。しかし今となっては神々同士で信徒を奪い合うような状況であり、そしてその争奪戦を信徒達が代理して行っているのである。ラグナロク(神々の戦争。ただし代理戦)は、我々の目前ですでに始まっているのだ。
2008-03-16 [長年日記]
_ [社会派] なくそう! こどもポルノ
日本ユニセフ協会が、最近チャイルドポルノ禁止を求めて署名活動を活発化させているらしいことは巷間で話題である。まあとりあえずここではスラドのタレコミをリンクしておこう。日本ユニセフ協会が、いわゆる国連の下部組織のUNICEFとは別組織であることはもはや有名な事実なのでワザワザ書くこともないだろうが付記しておく。
俺もちょろっと日本ユニセフ協会のところにあるクエール博士とやらの報告書を読んでみたのだが、俺が注目したのはこの部分。
こうした画像(引用者注:チャイルドポルノ)を視聴することと犯罪を犯すこととの相互関係についての調査は、いろいろと試みられています。一例はアメリカのヘルナンデス氏による刑務所内の入所者に関する調査です。それによれば、実際に子どもポルノを受動的に視聴した人の76%が接触犯罪を犯していたというのです。
これは刑務所の入所者が対象なので、この内容をなんぼ敷衍しようとしても、せいぜい刑務所の入所者がそうだった、以上のことは言えない。小難しく言うと、想定されている母集団がどう見ても刑務所の入所者でしかない。本当にありがとうございました、ってこと。犯罪者とロリコンは基本的にはまったく別の集団なので、おそらくこの著者が言いたいことであろう、「ロリコンは犯罪を犯す」という結論には全くつながらないのである。
一応言っておくが、「犯罪を犯した者にはAが多い」と「Aは犯罪を犯すことが多い」は全く独立の事象である。「日本人には黄色人種が多い」「黄色人種は日本人である場合が多い」という例だとわかりやすいか。前者は今のところ?事実であるが、後者は中国人などを考えると全く事実でないことがわかる。どうもこの著者は、論理思考能力がちょっとお粗末であるようだ。
ちなみに著者がこのような粗雑な文章を書いてしまった思考過程を邪推するに、暗黙のうちにロリコンを犯罪者と同等のものと見なしているのではないかと思われる。こうなると
「犯罪者=ロリコン」かつ「犯罪者は犯罪を犯す」→「ロリコンは犯罪を犯す」
というロジックが成り立つ。犯罪者扱いされてますよ!>ロリコンども。
まあどちらにしても、
- 「AならばB」≠「BならばA」を理解していない
- 前提に結論が埋め込まれている議論
という点において、この文章は大学教授にあるまじき粗雑な論理展開の文章であるといわざるを得ない。俺が大学の先生で、学生がこんな論理展開のレポート持ってきたら、不可をつけるね。この先生のところの学生はちゃんと教育を受けられているんだろうか。他人事なので別に心配はしないが。
ただ付け加えるならば、この日本ユニセフ協会の取組自体が、論理性を指して重視していないものと思われるので、このような指摘をしてもあまり本人達にはこたえないだろう。だって「子どもポルノをオンラインで見るということと、(実際の子どもへの)接触犯罪を犯すということとの正確な関係ははっきりしていません」なんて文章を堂々と載っけた上で禁止運動してるのだもの。「本当かどうかはっきりしませんがとにかく禁止しましょう」といっている様にしか見えない。(と言うかそうなのだろう)。
議論の方法というのはアリストテレスの昔から延々と議論されて来たものだが、そこで解決できていない問題の一つとして、「論理をわからない人間に論理的な結論を納得してもらうにはどうしたらいいのか」というものがある。一つの回避方法としては、教育を行き渡らせて、なるべくみんなに論理的な議論の方法を分かってもらうというのがあるわけだが、その教育を行き渡らせることを活動目的の一つとしている日本ユニセフ協会が、こんな無教養な行いに出てしまうというのは、とても皮肉が効いていて、思わず生暖く微笑んでしまう。
すべての子どもに教育を(日本ユニセフ協会のページより引用)
世界で学校に通っていない子どもは約1億1,500万人。その半数以上は女子です。ユニセフは、男子も女子もすべての子どもが学校に通い、また修了できるよう、教材・ノートなどの文房具、黒板など学校で必要なものを届けるとともに、学校に衛生設備(井戸やトイレ)を設置したり、また先生へのトレーニングを行ったりしています。
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_ 名無し [いやはや、自分もその記事読んでみましたけどすごいレポート(笑)ですねw 実際のところ子供に手を出す大人というのはな..]